フランチャイズオーガナイザーのブログ

フリグマ代表取締役/FCオーガナイザー&コアフランチャイジーの養成講習主宰/FC本部中枢歴10年/自ら立ち上げたFC→加盟募集開始→健全に3年100店舗実現/ビジネスチャンス連載/日経FCショー・FRAX TOKYOなどFC主要イベント登壇/2024年APAC・FCコンサルTOP10選出

フランチャイズ戦術シリーズvol.4「オープンアカウント」

さあ、やってきましたフランチャイズ戦術シリーズです。

フランチャイズ戦術シリーズvol.1「ターンキー制度」 - フランチャイズオーガナイザーのブログ
フランチャイズ戦術シリーズvol.2「MO制度」 - フランチャイズオーガナイザーのブログ
フランチャイズ戦術シリーズvol.3「営業しない加盟開発」 - フランチャイズオーガナイザーのブログ

これまでこのようなラインナップで紹介してきたフランチャイズ戦術シリーズ。
4回目となる今回は「オープンアカウント」です。

フランチャイズ観点でのオープンアカウントは、FC本部とFC加盟店間の会計処理の1つの手法です。
元々は協定国間の貿易取引での清算勘定の仕組みだったようです。
フランチャイズ業界では主にコンビニで使われきた制度ですが、
日本での導入背景は、
米国のサウスランド社(セブンイレブンの生みの親)が考案したものを、
当時のセブンイレブン・ジャパンが日本に持ってきたという説が根強いようです。

さてさて、オープンアカウントについて詳しく触れていきます。
繰り返しますが、オープンアカウントとは、FC本部とFC加盟店間の会計処理の1つの手法です。
FC加盟店では日々売上が発生するわけですが、
その売上を一旦本部の口座に送金するルールとし、
FC本部は加盟店が支払うべき仕入れ代金やロイヤリティを差し引き、残金をFC加盟店に戻すという手法です。

ロイヤリティが固定ではなく、
売上に対しての●%のような設定のフランチャイズでは、
このオープンアカウントを活用しなければ、
本部は正確に加盟店の売上を把握できませんから、
マストな戦術と言えるでしょう。

ちなみにこのオープンアカウント制を採用するFC本部の中には、
FC加盟店に対して自動融資制度もセットにし、
FC加盟店は銀行などの面倒な手続きをしなくても、FC本部から資金を借りられる体制にしているフランチャイズもあります。

このオープンアカウント制について、
FC本部側とFC加盟店側のメリット・デメリットを整理してみました。

<FC本部側>
メリット
・ロイヤリティや経費などの正確な算出と徴収が可能(加盟店から本部への支払い遅滞が起こり得ない)
・加盟店の売上や粗利などの実数値を正確に把握できる
・事業にまつわる各取引先は、FC加盟オーナー1人1人への与信調査が必要なく、迅速に取引を開始できるため、オペレーションがスムーズ

デメリット
経理ポジション専任が必須となる
・業務オペレーションによっては、FC加盟店の仕入経費などを一時負担する必要が出てくる
・FC加盟店のキャッシュフローを本部が請け負うに等しいため、主体的で本格派な経営者オーナーが生まれにくい

<FC加盟店側>
メリット
・(プランや仕組みによりけりだが)家賃・広告宣伝費・仕入れなどの支払手続きが必要ない
・赤字が続いても(FC本部からの実質資金調達が可能なので)運営を継続できる。給与未払いなどを防げる
・(自動融資制度有の場合)FC契約中は返済期限を設けていないこともあり、且つ金融機関よりも安い金利で資金調達が可能

デメリット
・独断で売上金を利用することが不可能なため、経営純度が高くない
・本来対等であるはずのFC本部とFC加盟店でヒエラルキーが生まれやすくなる
・(自動融資制度有の場合)あまりにFC本部への借金が膨らむとFC契約解除を通告されるリスクも出てくる

ざっとこういったところでしょうか。
オープンアカウントを導入しているFCでも、
オプション(自動融資制や仕入経費などの本部一時負担)の有無は各FCで違いがあり、
そのオプションによって、良くも悪くも加盟店の裁量も変わってくるので、
加盟検討先がオープンアカウントを導入している場合は、入念に調べていきましょう。

ちなみに大事なことなので明確に触れますが、
FC本部からの自動融資には当然に利息が付きます。
いくら金融機関よりも安い金利とはいえ、
オープンアカウント上での借入は、何か新事業を立ち上げるとかポジティブな意味合いではない借入ですから、
これが発生した場合は、加盟オーナーはシビアに捉えた方がよいでしょう。

このオープンアカウント制度は、
だいぶFC本部のパワーが強くなりやすい仕組みがゆえ、
コンビニ問題が議論される際にはしょっちゅう争点にもなります。
とはいえ、以前のターンキー制度同様に、
このオープンアカウントがコンビニ業界やフランチャイズ業界の発展に大きく貢献したのは明らかな事実なので、
このフランチャイズ戦術シリーズで取り上げました。

ちなみにこの戦術は、FC立ち上げ当初に導入していないと、途中からの導入は至難の業です。
そのため、FC立ち上げ段階ですぐに導入可否を判断する必要があるので御注意を。
ではまた。
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株式会社フリグマ(Flegma,Inc.)代表取締役社長
佐々木翔(sho sasaki)
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