フランチャイズオーガナイザーのブログ

フリグマ代表取締役/FCオーガナイザー&コアフランチャイジーの養成講習主宰/FC本部中枢歴10年/自ら立ち上げたFC→加盟募集開始→健全に3年100店舗実現/ビジネスチャンス連載/日経FCショー・FRAX TOKYOなどFC主要イベント登壇/2024年APAC・FCコンサルTOP10選出

FC本部が激おこぷんぷん丸になるとき

内容が内容だけに、タイトルくらいはポップにしなければと考えた結果、標題になりました。
ちなみに「激おこぷんぷん丸」という表現が流行していたのは2013年ごろのようですね。
激おこぷんぷん丸 - Wikipedia
まあどうでもよいです。笑

自分に一度でも会ったことがあるという方は御理解いただけると思いますが、
基本的に自分はいつも上機嫌ですし、平和主義者です。
内心(特に仕事では誰かの仕事ぶりに対して)イラっとすることも実は多いですが、
そういうケースでも、笑顔ベースで指摘したり、周囲にネタとして笑い話にしてスッキリするので、
後腐れなく、誰に対してもわだかまりが無いです。

そんな自分のようなキャラの人間がFC本部を率いているケースでも、
フランチャイザーとして許すわけにはいかず、断固たる決意で加盟店に対して徹底的に主張する必要があるシーンというのは存在します。
それは以下3点です。

1, 秘密保持契約違反
2, 競業避止義務違反
3, ブランディング毀損

1, 秘密保持契約違反
フランチャイズビジネスというのはナレッジ産業です。
そのナレッジが、対価として加盟金の一部&ロイヤリティの一部として機能するわけです。
つまりそのナレッジやノウハウが流出してしまったら、
加盟金やロイヤリティの価値の一部が無くなることに等しいため、
FC加盟店の故意によるナレッジの流出が発覚した際には、
如何なる理由にせよ、FC本部として然るべき対応をせざる得ません。
例えば、想像できる事例として、
現在自分が率いるフランチャイズに加盟オーナーAさんという方がいたとします。
Aさんには弟・Bさんがおり、その弟・Bさんはつい最近我々のフランチャイズの同業他社に加盟をしたとしましょう。
兄弟ですから、当然何かと会う機会もあるでしょう。
その際にポロっとAさんがBさんに我々のフランチャイズの機密情報を漏らしてしまったことが発覚した場合、
我々はAさんに対して秘密保持契約違反を主張することになります。
FC本部にとってナレッジというのは非常に重く価値のあるものなので、
前述の例のような「家族同士」の要素だろうが情状酌量の余地はないのです。


2, 競業避止義務違反
これはフランチャイズ業界人で無くともイメージしやすいのではないでしょうか。
フランチャイズに加盟したら、
その商売を運営するナレッジやノウハウを得ることができますよね。
そして中途解約や契約満了なりでフランチャイズを脱退して、
そのフランチャイズに加盟したからこそ得たノウハウで、
その同業の商売を開始する・・といった具合です。
こういうことをなさるオーナーの言い分は下記のようなものでしょう。
「多額の加盟金やロイヤリティを支払って得たものなのだから、別にそのノウハウで同じ商売したってよいでしょう!」
イチ人間として、気持ちは分かります。
ただFC本部としては、分からないというか、分かってはいけない宿命という言い方が正しいかもしれません。

例えば契約満了でフランチャイズを脱退して、
同業の商売の運営を開始した方を仮にCさんとしましょう。
FC本部としては、このCさんが脱退したということは、
Cさんが運営されていた地域で、他のオーナーなり、新規オーナーを受け入れることが可能になります。
仮にCさんが同地域で同業の商売を開始した場合、
我々の現FC加盟オーナーの利益を減少させることに繋がる可能性が出てきますね。
これは運営していた同地域でなくとも同様で、仮に現在フランチャイズとして未出店の地域であろうが、理屈は同じです。
つまりFC本部が競業避止義務違反に対して激おこになる必要がある理由は、
その元オーナーに対して「ちくしょう我々(本部)を裏切りやがったな!」などという感情論的なことではなく、
現オーナーや未来のオーナーの利益を守るために戦う必要があるということなのです。

これ未だにFC本部社長や経営陣の方で認識が甘い方が多い印象です。
心優しきFC本部社長や経営陣にありがちなのは、
「我々のフランチャイズを抜けて同業の商売をしてしまったということは、我々が魅力ある本部で無かったという事だと思うので、
これは我々の落ち度でもあると考え、飲み込みます・・」
このようなお考えです。
素晴らしい、人としては素晴らしいです。
ただ一方で、こういうFC本部は前述のように、現オーナーや未来のオーナーの利益が逼迫する恐れがあることに着目出来ていないのです。
競業避止義務違反に対しては、自身の感情云々ではなく、
FC本部として背負うものを守るために攻めの一択なのです。


3, ブランディング毀損
FC展開をする我々の使命は、全国各地どこの店舗に御来店いただいても、
サービスの均質性を担保することです。
エンドユーザーであるお客様は、
鹿児島県と北海道で運営するオーナーが違うという事情など知ったこっちゃないのです。
同じ看板・屋号で運営している限り、
サービスの均質性は維持する使命があります。
逆に言えばこれが出来ないのであればFC展開を目指しては駄目です。
ここが担保できる仕組みが整って、初めてFC加盟を募集開始する権利があるくらいに捉えましょう。

ちなみにサービスの均質性は、点数で言えば全ての店舗に100点を出していただく必要はなくて、
あくまでブランディングを毀損する最低ラインを設け、それを仮に70点とすると、
70点以下の店舗があったらFC本部として是正を求める必要があるということです。
例えば鹿児島県の店舗が72点で、北海道の店舗が90点の場合、
均質性という意味では甘いわけですが、FC本部として許容範囲ではありますね。
あくまでブランディングを毀損するくらい基準以下の場合、
絶対的に是正を求める必要があるということです。

ちなみに上記の例そのままに、例えばオーナーが内外装にお金を掛けたくないからと、
チープな店舗に仕上げてしまい、仮に68点の店舗があったとしましょう。
担当SVは当然オーナーに是正を求めます。
それに対してオーナーが拒否してきた場合、どうしましょう?
そのオーナーはきちんとロイヤリティを支払ってくれていますし、
担当SVとしてはオーナーの機嫌を損ねることもしたくないのが本音でしょう。

ただ・・・答えは迷うことなく繰り返し是正の一択です。
こういう局面のとき、立ち返るべきFCの原理原則は、
「オーナーはけしてお客様ではなく、FC本部にとってお客様=エンドユーザーであるそのサービスを利用するお客様のみ」ということです。
この原理原則を理解していないFC本部が多いです。

オーナーをリスペクトすることは大事ですし、
自分も絶対的にオーナーをリスペクトしてますが、
オーナーなどと呼び、オーナーをお客様やクライアント同様と捉えるFC本部が結構多いです。
その勘違いのまま進んでしまうと、前述のケースでもエンドユーザーの視点を持たずに、
「オーナーがこの内装のままで良いと仰るなら、このままで良いです」となるのです。
これが積み重なると、エンドユーザーいわばサービスを利用するお客様がじわじわと離れ、
ブランド力がどんどん低下し、FC加盟店全体の業績が下がり、
FCとして最悪な末路になってしまうのです。

オーナーはお客様ではなくビジネスパートナー。
本部とオーナーが一緒になってエンドユーザーであるお客様のために必要なことを考えて行動することが、フランチャイズにおいては肝要です。
エンドユーザーのニーズとオーナーの主張が二律背反となった際、迷わずエンドユーザー視点で正しい選択をチョイスできる本部が良質な本部です。
オーナーをお客様扱いする本部に未来はないです。

話は逸れましたが、
こういうロジックからもブランディングを毀損したFC加盟店には、
内心葛藤があったとしても、断固たる決意で徹底的に主張する必要があるのです。

 

以上、FC本部が激おこぷんぷん丸になるときでした。
激おこぷんぷん丸にならざる得ないとき、というほうが正しいかもしれませんね。

序盤でも書いたように繰り返しますが、
基本的に上機嫌で平和主義の自分のような人間でも、
FC本部の責任者として、フランチャイズのプロとして、上記のようなシーンでは、迷わず是正を主張する必要があるのです。
逆にここで戦えないと、良質で末永く続くフランチャイズを構築することが出来ません。
半ばパフォーマンスでも、上記3つのシーンは絶対に闘志を見せなければならないのです。
ニュアンスで言うと、U-24日本vsU-24ガーナ戦でキャプテン吉田麻也が、味方へのラフプレーに対してキレた感じ、あのニュアンスに近いです。

吉田麻也キャプテンも後日談で「あれはパフォーマンスだった」とインタビューで仰ってました。
感情論云々ではなく戦う必要があるシチュエーションというのは存在するということですね。


秘密保持契約違反/競業避止義務違反/ブランディング毀損・・・
これらに対しては、FC本部の社長なり、FC本部の責任者が戦わないと、
ルールをしっかり遵守してくれている大多数のオーナーを守ることができないし、FC本部も守ることができなくなります。

これからFC本部を立ち上げるという皆様には肝に銘じていただきたいですし、
且つ現在FC加盟中のオーナーや、これからFCに加盟を検討なさっている方も、
FC本部はこういう思考を持っているのだと理解いただくと、何かとメリットが大きいと思います。
ではまた。
--------------------------------------------------------------------
株式会社フリグマ(Flegma,Inc.)代表取締役社長
佐々木翔(sho sasaki)
フランチャイズ関連の御相談や各種お問い合わせ、
あるいはFC本部立ち上げ/FC本部構築/フランチャイズ化など、
3年で100店舗をコミットするフランチャイズオーガナイズサービスを御希望の際は、
下記メールアドレスもしくはHP内のお問い合わせフォームにて承ります。
初回御相談は無料です。お気軽にどうぞ。
info@flegma.jp
お問い合わせ | flegma(フリグマ)
【HP】
flegma(フリグマ)|コミットするFC本部のパートナー
---------------------------------------------------------------------

FC本部キレる・契約違反