不二家考察、第四弾です。
①~③で長い歴史とその中での栄枯盛衰、そして大事件におけるフランチャイズ的リスクの側面を把握できました。
ただ色々ありながらも現時点で国内に831店舗存在する状態。
これをもう831店舗しかないと捉えるか、
まだ831店舗もあると捉えるかは個人の価値観に依存しますが、
自分はまだ831店舗も存在すると捉えます。
831店舗を有し、現在も加盟店募集を行っている現役のFC本部です。
そのため、今後もし不二家への加盟を検討される方がいるとしたら・・という視点で、
現在の不二家について考察していきます。
今回参考にさせていただいたのは以下9つの記事やデータです。
「不二家HP」第126期報告書/2021年3月30日
https://www.fujiya-peko.co.jp/company/ir/pdf/report_2020.pdf
「NIPPONの数字」不二家最新決算/2021年3月25日
【不二家】決算・業績、年収の推移 - 2211|ニッポンの数字
JFAフランチャイズガイド/フランチャイズ契約の要点と概説/2020年6月18日
http://fc-g.jfa-fc.or.jp/misc/pdf/122-1.pdf
「フランチャイズ相談サイト FCオーナーズ」
https://fc-owners.com/franchise/brand-detail?b=313
「アントレランド」不二家のフランチャイズで独立開業!注意すべき点と開店への道のり/2019年4月15日
不二家のフランチャイズで独立開業!注意すべき点と開店への道のり | アントレランド
日本リサーチセンター(NRC)/「企業キャラクター・ゲームキャラクター編」集計結果/2021年01月21日
第7回 NRC全国キャラクター調査 【Part3:企業キャラクター・ゲームキャラクター編】 | 市場調査・日本リサーチセンター(NRC)
酒井美紀が不二家の社外取締役に就任/2021年3月24日
酒井美紀が不二家の社外取締役に就任「鋭意努力」 - 社会 : 日刊スポーツ
「マイベストフォーユーブログ」酒井美紀なぜ不二家の社外取締役に起用か理由が判明/2021年4月9日
【酒井美紀】なぜ不二家の社外取締役に起用か理由が判明!年収や報酬・仕事内容・勤務時間について調査 | マイベストフォーユー
「ロケスマ」不二家立地画像
これらの内容を纏めますと以下のようになります。
株式会社不二家は第126期の決算(2021年3月)を以下で終えた。
売上高991億
営業利益25億
経常利益30.4億
純利益10.5億
販管費の圧縮に努めた結果、
経常利益においては32期ぶりに30億を突破した。
特筆すべきは自己資本比率67.6%という事実。
該当各業種の平均値(小売業36.7%/卸売業38.3%/サービス業44.9%)と比較すると、
容易に不二家の自己資本比率の高さが認識でき、ここだけ見ると現状は今すぐに傾く状態ではないと汲み取れる。
一方でROEは水準よりも低く、且つフランチャイズ加盟店舗数も直営店舗数も右肩下がりの減少傾向が続いており、
自己資本比率の高い企業力をフランチャイズという要素に対して波及が出来ていない様子。
フランチャイズ契約期間は3年と意外に短め。初期投資は約1,000万ほど。
加盟オーナーの年収はおおよそ1,440万円程度と推測・・という記事も発見したが、
いまいち信ぴょう性に欠け、時代の流れもけして追い風ではないので、ROI 40%でも上出来レベルで捉えた方がよさそう。
運良く2年で回収して、(解除は6カ月前予告なので)その後の6か月間で契約延長するかしないか判断しなければならないので、経営判断難易度はけしてイージーではない。
ブランド力の観点で言えば、知っている企業キャラ認知度では、
「ガチャピン&ムック/フジテレビ」73%、「お父さん犬/ソフトバンク」70%を抑え、
「ペコちゃん、ポコちゃん/不二家」の認知度83%を誇っており、
未だにキャラクターマーケティングの最高峰に君臨している点は大きなメリット。
さらに2021年3月24日付で女優・タレントの酒井美紀が社外取締役に就任し、大きな話題になった。
トップとの利害関係もなく、且つ女性役員という要素もあり、企業イメージにおいてはプラスが大きい人事と言える。
また、これだけの老舗FCだが、現時点で未出店地域は複数存在する。
考察④における3つのポイント
1, 2021年3月、第126期の決算では経常利益において32期ぶりに30億を突破。自己資本比率も67%と現状だけで見れば盤石
2, 「高い自己資本比率=FCチェーンとして成長している」という構図ではない
3, 未だにキャラクターマーケティングの力は根強い。女優の社外取締役抜擢など老舗らしからぬ新たな動きも出てきて、改革の気配を感じる。これだけの老舗FCにも関わらず、未出店地域も存在
さて、これまで4回にわたって不二家を考察してきました。
③の最後でも記しましたが、
2006年の事件は食品を扱うフランチャイズの失敗例として、
日本フランチャイズの歴史に明確に刻んでおく必要があると感じました。
また、事件にまつわる裁判判例では、本部がブランド価値の維持義務違反したことによる損害賠償責任が認められたことも確認でき、
こうして不二家を考察したことで、改めてフランチャイズ本部の責任を明確に整理できました。
これをお読みいただいている現役のフランチャイザー中枢の皆様、
ならびに食品や飲食関連のFC本部をクライアントに抱えているFCコンサルタントの皆様も十分に御留意くださいませ。
また、日本初のFCだからこそ、過ぎた年月と共に様々な歴史(黒歴史も含む)があった中で、
前回の考察シリーズ「ベンチャー・リンク」とは違って、
今もなお企業としてもFC本部としても存続している事実があり、
それは良くも悪くもフランチャイザーの生命力を感じました。
ただし、存続しているからこそ、きちんと過去に折り合いをつけ、
工夫を凝らし、時代の流れにアジャストして、
もう一度FC本部として勢いが出てくると面白いのにな~と感じます。
日本初のFC導入企業なのですから、時代に合わなくなったからFC本部として衰退という末路は、
フランチャイズ業界に情熱を捧げる者としては、やや寂しいなと思うのです。
・・不二家さんが「カムバック キングフランチャイザー」を目指す暁には、
ぜひ酒井美紀さんの横の席の社外取締役枠でお声がけいただきたいです。笑
半分冗談半分本気で、もちろん社外取締役ではなくコンサルでも何でもよいのですが、FCオーガナイザー視点で結構できることはありそうな印象です。
ではまた。
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株式会社フリグマ(Flegma,Inc.)代表取締役社長
佐々木翔(sho sasaki)
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